TRICERATOPSのリマスター。
邦楽を聴かずに育ってきてトライセラトップスを聴き始めたのが中学生の終わり。その頃の記憶を思い返すとよく聴いてた洋楽に混じってトライセラが思い出のBGMとして脳内再生される。日本の音楽をなんとなくずっと馬鹿にしてたところがあって、今思えばただの先入観なんだけど。あの日タワレコの試聴機でまだインディーズだったこのバンドを聴いた瞬間から、その先入観が吹っ飛んだ。キャッチーなメロディとスリーピースとは思えない音の太さ、日本人のロックバンドなのに洋楽っぽさがあって、スッと耳に馴染んだ。
しかもだいぶ経ってから知ったんだけどボーカルの人はマイケルジャクソンのファンだっていうじゃないか!(5歳の時からマイケルを聴いて育ってきた俺としてはかなりの親近感)だからなのか彼らの作る音楽のメロディやグルーヴは学生の俺に突き刺さった。音楽の価値観とか感覚って、その人がどれだけいろんな音楽を聴いてきたかにもよるけど高校生くらいで完成しちゃうもんなんだと思う。だからあれから19年経った今でも聴き続けてる。
盤が割れるほど聴いたアルバムのリマスター
ビートルズ、レッド ツェッペリン、マイケル ジャクソン、シカゴやらの60年代〜80年代のアナログ時代の音源を、CDの特性にマッチしたクリアな音にしました!的なリマスターは、今まで結構買って聴いては歓喜することもあれば失望することもあった。
そして今回のトライセラのソニー時代の1st〜4thまでの4枚のアルバムをリマスターってことだけど、98年〜01年に発売されたデジタル時代の音源をリマスター?発売から15年ほどでレコーディング技術って向上してるものなの?と半信半疑でしたが、リマスターが出るという話を聞いて「あの一枚のモヤモヤがついに解消されるかも!?」と期待していました。
その期待していた一枚は、2001年にリリースされた4thアルバム"King Of The Jungle"オリジナルが発売された2001年当時の記事には、それまでの3枚に比べて”暗い”とか”ぽくない”とか書かれていて納得がいかんかった。俺にとってはむしろそこがさらにトライセラにハマったキッカケで、特にブラック要素が強い4,9曲目はR&Bテイストで、ブリッジ(Cメロ)の展開とか最高なんですよ。その他の曲もメロディーの独自性もアップして、登場する言葉は自信に満ていて1stの、あの娘にプレゼント買って会いに行こう!、ライターに貼ってあったシールの男は誰なんだよ!こん畜生!だの、悩める思春期男子の面影がすっかりない。そこが賛否分かれている部分でもあるかもしれないけど、3rdも4thも言うなれば第二形態への過程には必要な一枚。(1stは言うまでもなく傑作、disってないからね!)
そんな俺のトライセラ史には重要な一枚なんだけど、すごい残念なことに全体的にモゴモゴしていて、こもった和田さんのボーカルとか、遠いヨシフミさんのドラムとか、軽い林さんのベースとか、それぞれあと少しこうだったらいいのにっていう音のバランス的にモヤモヤした未練が長年ありました。
そしてそのモヤモヤがどう解消されているか期待し購入。リマスターの成果は…期待以上でした!ありがとうございます!それぞれの音自体のシルエットがハッキリして解像度が上がった感じがします。例えるなら、ボケてた公園の写真だったのが、絞りが絞られてパキッと木にもベンチにも噴水にもピントがきて奥行きが出た感じ。
新旧聴き比べ
ここのリバーブが抑えられてここにコンプレッサーがかかってどうみたいな、そういう専門的な知識は特にないですが、聴き比べてみた結果をまとめました。これで興味持って聴き比べてみたり、共感してもらえるところがあれば嬉しいです。(どちらもAIFF 44.100khz 16bitでオーディオインターフェイスを介して再生)
01.King Of The Jungle
1曲目の表題曲、全体的に高音域が弱くて音がこもってて気になってた、それが本当絶妙なバランスで高音が補強されて完全な状態になって帰ってきた。冒頭のシャウトとBメロが刺さる。
かなり誇張していますが、頭の中のイメージ。
LOW=低音 HI=高音 FRONT=近い BACKWARD=遠い
低音が右に伸びて全体が太くマッチョになって、高音もシャープに伸びて音域が広くなってる脳内イメージ。
02.Silly Scandals
中音域から低音域が太くなって特にベースが全体を支えてる感じが強まった。埋まってたドラムのシンバル類がシャープになって立体感UP。ライブで初めて聴いた時痺れた。
03.摩天楼
オリジナルの時点で自分としては満足だったんだけど、楽器が分解されて広がりが増して、左右振られたギターの臨場感が気持ちがいい。どこかThe Policeっぽい感じの曲。
04.エメラルド
ベースの低音域が下に広がって曲自体が太くなって、大サビのコーラスもより広がりを増した印象。サビのメロディーの上昇していく感じからの後奏のコーラスとメロディ大好物。
05.Hotter Than Fire
この曲もオリジナルでも文句なし。でも強いて言えば、ドラムが全体的に軽い印象だったんだけど、ドラムの存在感が増してヨシフミさんが後ろから二人を前に押し出してる感じがしていい。この曲聞くと和田さんの金髪思い出す。
06.Fall again
中音域で固まって音が、ギター、ベース、ドラムそれぞれ上も下も強調されて抜けが良くなった。高校生の時何回聴いたかわからない、学校の行き帰りの道がこれを聴くと鮮明に蘇る。ライブで未だ聴けてない。
07.Rain
若干音圧が上がってるけど、基本的にはオリジナルに近い印象。ブリッジの「この雨に皆〜打たれて景色がとてもきれいだな〜」のところ天才だと思う。
08.Listen
この曲も基本的にはオリジナルに近い?林さんの作曲、あとアルバム違うけどDAWN WORLDの吉田さんのOld Lighterも毛色違って、どちらもけっこう好き。
09.Touch Me
低音が厚くなったくらいかな。ボーカルは通してファルセットでCメロで一瞬ナチュラルボイスになるんだけどがそこがかなり効いてる。
10.万華鏡へ
高音域が引き上げられて01.King Of 〜同様、こもっていた音がシャープになった。確かこの曲、元はMOONとかいう曲だったって話を何かで読んだか聞いたか。
11.Groove Walk
この曲はベスト盤にも収録されその都度リマスタリングされているので、Greatest1997-2001、DON'T STOP THE NOISE!のバージョンも含めて聴き比べてみました。King Of The Jungleのオリジナルは全曲低音に寄ったマスタリングがされていているようで、ベスト盤2枚の2曲はJungleに比べるとどちらも軽く感じる。でもこれはもう好みの問題で、今回のリマスター版は、オリジナルの音作りを踏襲しつつバランスが整えてあって感動しました。 あくまでもオリジナルありき。
12.New World
中高音域が広がってドラムもギターもボーカルもクッキリ、さらにベースの超低音が増して下で跳ねてるのがよくわかる。ドラムもシンプルでかっこいい。
聴き終わった感想
このリマスターはメンバー本人たちがしっかり関わってるし、今回のようなバンドの初期の音源を、現在の経験を積んだメンバーたちの耳と最新技術とエンジニアさんの力によって、パワーアップさせるという音の模様替えは正義!こういう動きはどんどん色んなアーティストにもやっていってほしい。
オリジナル版をすでに持ってるよって人もリマスター買ったほうがいいし、トライセラトップスってラズベリーのバンドでしょ?くらいのイメージの人も買ったほうがいいし、ブラックミュージックが好きな人も買ったほうがいい。完全にパワーアップしてるからオリジナルを知らずに今回のリマスターを買える人が少し羨ましい。でも僕みたいに聴き比べるのもまた楽しいですよ。2000円は安いです。はい。
おまけ
SONGS FOR THE STARLIGHTが発売された頃にトライセラの48曲MIXを作りました。King Of The Jungleからも何曲か選抜してます。(リマスター音源と差し替えたいな…)
リマスター関係ないけど良かったら聴いてみてね。
セットリスト
Intro
Going To The Moon
2020
PHOTOGRAPH
Warp
MILK & SUGAR
My Skywalker's T-Shirt
Walk In The Park
Touch Me
I Can't Tell You Anymore
JOHNNY DEPP
PUMPKIN
If
エメラルド
シリンダーの中の夢
トランスフォーマー
赤いゴーカート
Standing In The Shadow
Jewel
あのねBaby
Short Hair
GOOD ENOUGH
Now I’m Here
PYRAMID CRASH
Startin' Lovin' (with May J)
Ace
FUTURE FOLDER
Rock Music
Future shock
Second Coming
スターライト スターライト
The Captain
Phenomenal Eyes
プレゼント
スカルの柄
1000 LOVE
Vine
Fly Away
Finally
Believe The Light
Sexy Groove
僕らの一歩
ホログラム
FLASH!!!
Fall Again
Groove Walk
MADE IN LOVE
Fever
ふたつの窓
Raspberry
最後まで読んでくれてありがとう。
おわり。